アメリカで怖い思いをした話
みなさんはアメリカに持ってるイメージってありますか?
自由の国?それは確かにあるかもしれない。
バスの中で1人のおじさんが、スーパーで買った物をヒカキンの開封動画みたいにみんなに紹介し出した。そしたら、周りの乗客が「イェーイ!」っておじさんにノリはじめた。これは日本じゃ絶対にありえないよなぁさすがアメリカだなぁと感心した。
え?ハリウッド?わかるわかる。あの辺はビバリーヒルズもあるし、本当に煌びやかな街なんだよね。マジで街行く人全員がブラピやスカヨハに見えるもん。
え?大麻?ハハハ。
こんな感じで、日本人がアメリカに対して思い描くものって綺麗なものが多い。かくいう僕もロスに来る前までは「街中ですれ違い様にハイタッチとかしちゃったりするんでしょ?ウェイ」って思ってた。
でも、実際はもう少し黒かった。
ある日、語学学校の友人数人と、サンタモニカピア(上の画像)という観光名所に向かって歩きながら、その日知り合ったサウジアラビア人のイケメンと話していた。
「どこから来たの?」
『日本だよ』
「マジ?やっぱ日本人って犬とか猫とか食べたりするの?」
食う訳あるか。日本はペット大国ぞ?
てかなんでちょっと確信的なんだよ。納豆食うか?
そんな風に談笑していると、道が狭かったこともあり、反対側から歩いてきた人にぶつかってしまった。
相手はアフリカ系アメリカ人。といっても、ガタイのいいバスケ選手みたいな人じゃなく、ゾンビ映画でジョークを飛ばしながら何気に生き残って中盤でアッサリ死ぬタイプのやつ。
しかしそこは礼儀正しいことで有名な日本人。すぐに「I’m sorry」と謝る。
すると彼はこっちを見てきたが、僕は彼の目を見て気づいた。
「この人何かがおかしい」
次の瞬間、
彼は僕の腕をガッと掴んで、「どこ見て歩いてんだ!?」と怒鳴ってきた。
なんで?痛かった?ポンって手が当たっただけなのに?スペランカーかお前は。
とか思っていると、僕は砂糖を焦がしたような甘ったるい臭いを彼から感じた。間違いない、この人、大麻をめっちゃ吸ってる。
僕はこれ以上揉めるのは嫌だったので、「申し訳ない。本当にすまなかったと思ってるよ」と謝り続けたが、彼はずっと僕の手を掴んで「てめえ二度とやるなよ!?マジで分かってんだろうな!?あ!?」などと怒鳴り続けている。
どんどんと彼のテンションは上がっていく。
殴られるかもしれない。そう思って僕は腕を掴まれながら身構えていた。
すると、「てめえマジで分かってんのか!?」とそれまでより一層大きな怒声が飛んだ。
次の瞬間、彼の両手が僕に伸びてきた。
「両手!?これは避けれない!」
と覚悟すると、ふんわりと何かに包み込まれた。なんだ…これは?あぁ、父性か… 。
気づくのに時間がかかったが、なんと彼は僕にハグをしてきていた。
おまけに耳元で優しく、
「マイフレンド」
と囁いていて去っていった。
僕はキョトンとしながら、「なんだボブ(仮名)も可愛いとこあるじゃん」と思ってしまった。
激しさの中にある一片の優しさ。ダメ男に引っかかる女性の気持ちが少し分かった気がする。
あーある意味怖かった…さあ、目的の観覧車は目の前だ。